2010年6月10日木曜日

あなたにそっくり


あなたにそっくり

 1963年4月10日、全米で後悔された、エルヴィス・プレスリー12本目の映画「ヤング・ヤング・パレード」
 1962年、シアトルで開催された万博が舞台のラブ・コメディ。

 都会的なアレンジで、大人っぽいエルヴィスが上手に表現されている楽曲が目立つ。なかでもひときわきれいなラブソングが<あなたにそっくり>。

 夜のモノレールの中、印象的な美しい画面の中に、「リアル」「ソウル」を押し隠してしまった曲。それでも、溢れるエルヴィスの真髄が脈々と流れてこんなに素敵。
 エルヴィス映画ベスト5に入るおススめのシーンだ。


花の香りを遠ざけて
青空を隠しておくれ
甘い愛の歌も聞きたくない
あまりに君を思い出させるから
若い恋人たちの抱擁や星や月も
見えないように隠して
そんなことはすべて忘れたいん
だあまりに君を思い出させるから
永遠に苦しむのだろうか
毎日、一生続くのか
君と過ごした一つ一つの
思い出を振り返りながら
それでも君の心が痛まないのなら
二人の愛は実らない運命なのだろう
でもどうか戻ってきておくれ
もしもこれらの事が僕を思い出させるなら


 コミカルで軽快なヒット曲<破れたハートを売物に>のB面としてシングル・リリースされたピアノとコーラスだけのしっとりとした曲。A面を追ってこちらも、チャート・インしている。

 アメリカ、日本でも大人気だったテレビシリーズ『ボナンザ』のローン・グリーンが歌って大ヒットした<Ringo>の作者ドン・ロバートソンの曲。録音でも本人がピアノを弾いている。コーラスはザ・メローメン。

 後年、日本企画のアルバム『バラード』に収録する計画だったそうだが、音質の問題から断念されたらしい。
 『バラード』に収録された<Angel>などと同じくベスト盤には収録されたこともないので、音質を超えて収録され、あまり知られていないエルヴィスの多面な素晴らしさを広く知って欲しかったと思う。

 これは砂糖で隠しているものの、「よし、行くぞ!」で決めた「リアル」「ソウル」に満ちているのです。

 『ヤング・ヤング・パレード』には<今宵恋して><おいらの世界><ハッピー・エンディング><綿菓子の国>など、物語にふさわしいハート・ウォーミングな曲がエルヴィスの柔らかな感情をたっぷり浴びて幸せそうに並んでいる。

現在アルバムは<ボサノヴァ・ベビー>が収録されている『アカプルコの海』とのカップリングでリリースされている。